2012 旅行⑫

草履を履き、タスキをかけ、登山届に署名もし、いざ出発。




そのときの恰好は明らかに山を登るにはふさわしくない観光気分な

恰好でした。上着はファーのついたニットのセーター的なもの。

下はジーパン。靴は草履。片手には先ほど自販機で買ったお茶の

ペットボトル。完全に山をなめてます・・・




入口の門をくぐるとはやくも舗装されてる道などなく、いわゆる獣道。

最初は草履のせいで、足の親指と人差し指のあいだが擦れて痛い痛いなんて

言ってたが、もはや痛いなんて言ってられないほど道が険しく、足場を

しっかり固めて一歩一歩慎重に歩を進めなければならない感じでした。



早くも難所に出くわしました。木の根っこのほかには足場らしい足場

がなく、その木の根っこを使わないと上にはあがれない場所でした。

もちろん手も使わなければならず、片手にペットボトルを持っている私と

してはどうしようもない状態でした。


そういえば唯一靴をクリアした友人はリュックをしょってたなあ。その

友人にこのペットボトルを持っててもらおう、と思い、その友人に声を

かけたところ、その友人、なんと車にリュックを置いてきたとのこと(゜o゜)


その友人も同じく片手にペットボトルを持っており、同じ困難に直面していました。

うーん・・・もはや万事休す。

そのとき、一人の友人が、「ズボンにつっこむしかない」とのアドバイス

確かにそれしかない・・・ジーパンなのでポケットに入るわけもなく、無理やり

腹とジーパンの間に挟み、動きがとりずらくなったがほかに方法なし。なんとか

ペットボトルもともに上に進みました。



最初の段階でこの調子。はたして目的地までたどり着くのだろうか・・・

その疑念を抱きながら黙々と直面する険しい道を一歩一歩進めていくと、

あれほど疑念を抱いていた草履に対する考え方が大きく変わりました。



草履のなんと安定感のあることか!草履のポテンシャル半端ねえ・・・

運動靴なら確実にツルっといってしまうところでも足場をしっかりと固められ、

しかも素足にじかに感触が伝わるため、岩場のちょっとしたところに足をかけな

ければならないところもなんなくクリアできました。昔の人は考えたもんだんあ・・・


入口のところで私の靴にダメだしをした人を、最初は「なんだよ・・・くそ」

なんて思ってたが、「いやはやあのときダメだししてくれなかったらマジで死んでたかも

しれん・・・」との思いに変わりました。



ところで、山登りってのはいいもんですよね。すれ違う人すれ違う人お互いに「こんにちわ」

「こんにちわ」とあいさつすることなんてそうそうないですし、あいさつし、あいさつされるのは

気持がいいもんだなあとふと心に一服の清涼感を抱きました。



そんなこんなで、次から次へ難所が待ち構えては出現し、体も精神も疲れてきたところに、

前半最大の山場がやってきました。



長くなってきたので続きはまた後日。